ペドロガオンその後

 

ペドロガオンの大惨事から2週間経った7月1日、ユーカリの単一植林に抗議するアクションがリスボンの国会前で行われた。山火事で大きな影響を受ける私たち、ポルトガル中部に住む地元移民コミュニティからも25人程が参加した。

インターネット上では、かなり大きな抗議行動になりそうな印象だったが、ふたを開けてみると、参加者は60人程度。地方から3時間もかけてやって来た私たちのグループが最大だった。土曜日で誰もいない国会、報道陣も来ない。主催者がマイクを握って、「ペドロガオンを繰り返すな!」「ユーカリはいらない!」 と空っぽの国会に向かってシュプレヒコールを繰り返しても、やっぱり盛り上がらない。

毎年、ものすごい件数の森林火災が発生する。今年は64人も亡くなっている。なのに、この関心の低さは何だろう。ポルトガル人の参加者は「ポルトガル人は、自分の尻に火がついた時だけ行動するんだよ。賃上げ闘争だったら、すぐに集まる」と言う。ホントにそんなものなのか?

が、思い返せば東京に住んでいた頃は私も、地方の問題には鈍感だった。関心はあったし、頭ではわかっているのだ、環境破壊、ダム、米軍基地、原子力発電等など、全て自分の生活に関わっているのだということ。けれども直接、影響を受ける人達の痛みを身体感覚として感じることはあまりなかった。

たった270グラムの命/ティシアがやってきた

道路脇に小さな毛糸玉のような赤ちゃんネコがうずくまっていた。目が開かず、危険に曝されていること等、全くわかっていない。鳴くでもなく、ただうずくまっていた。

放っておけずに拾い上げ、家に連れて帰った。よく見ると目が開いていない。生まれたばかりだからかも知れないが、明らかに何かの感染症で腫れている。息づかいも荒い。すぐに獣医に連れて行った。治療して完治したら、里親を探すつもりだった。

だが診断は思わしくなかった。ウイルス性結膜炎で右目は手遅れ、左目は治療で或る程度回復が期待できるが、どのくらい見えるようになるかはわからない、と言われた。感染症の治療と左目の温存のため、早速、点眼薬と軟膏、さらに抗生物質の治療を開始した。感染は呼吸器系にも及んでいた。

朝8時から深夜12時まで、ほとんど2時間置きに、何らかの処置をしなければならない。シュウシュウが感染しては困るので、子ネコは隔離してベランダで世話をすることにした。

266グラムしかない赤ちゃんネコ。生後2週間くらいだろうか。両手ですっぽりと包み込める。声もまだ出ない。缶詰のウエットフードは口まで持って行けば食べるが、排泄には補助が必要だ。無力で弱々しい、としか言いようがない。放っておいたら、簡単に死んでしまったことだろう。

タブアの山火事

 

8月8日午後、庭仕事に取りかかろうとしていた矢先、タブア消防署のサイレンが鳴り響いた。山火事だ。庭から空を見上げても、庭木が邪魔をして、どこから煙が立ち上っているのか見えない。二階のベランダに出ると、目の前の丘の向こう側に黒い煙が細く立ち上っている。fogos.ptのサイトを見ると、直線距離で3キロ程のヴァルジアとカンドーサ村のあたりが出火元となっている。間もなく、空中消火機(消火機能のある飛行機やヘリ)が活動を開始。最初は2機、すぐに7機に増えた。

20分くらいで一時、煙の量が減ったので、初期消火が功を奏したかと思ったが、すぐに黒煙が広がり始めた。空中消火機は家の真上をひっきりなしに往復する。運良く、家は風上にあるので、突然風向きが変わらない限り、大丈夫そうだ。それに、家と火災現場の間には四車線の高速道路もある。それにしても、低空飛行する航空機の騒音はかなりのものだ。2機ずつ、南方から現場に接近し、消火活動後は北に抜けて行く。山火事はもちろん心配だが、航空事故も心配になった。燃料を積んだ飛行機が落ちたら、あっという間に火の海だ。

ペドロガオンの大火と避難民

 

死者64人と200人を超える負傷者を出してポルトガル史上に残る大惨事となったペドロガオン・グランデの森林火災発生から約一週間。焼失面積は5300平方キロ。出火原因は最初、落雷だとされたが、後になって落雷はすでに火災が4カ所で発生してから2時間経った時点で落ちたという証言が出て来た。ポルトガル政府は犯罪(放火)として捜査すると言っている。

この森林火災は、私達が住む集落からは直線距離にして40〜50キロ程西南。風向きにもよるのだろう、発生当日に影響はなかった。翌日からだ。空が煙で覆われ、黄土色に変わった。ベランダのテーブルは風に運ばれて来た灰でうっすらと覆われた。

週末に出されていた熱波警報は解除されたものの、週が開けても気温は35度を超える日が続いていた。火の勢いは衰えず、ペドロガオン近郊のゴイシュでも火災が発生。多数の友人が住んでいるベンフェイタはゴイシュから直線距離で10キロ程。高台に登れば、森林が燃えている様子が目視できる距離だ。

6月20日火曜日。ベンフェイタ村周辺の谷に住む外国人移民は、村の広場に集まっていた。森林火災が迫って来ている訳ではないが、風向きや強さによって、火がどの方向にどのくらいの速度で移動するかわからない。不安を抱えながら、村の広場で一日過ごしたと言う。

悲しい週末

土曜日にペドロガオン・グランデで発生した森林火災で64人が亡くなった。毎年、ポルトガルでは数えきれない程の森林火災が発生するが、村が全焼失し、こんなにも多数の人びとが命を失うような過酷な森林火災は聞いたことがない。

先週金曜日からイベリア半島全域で熱波警報が出され、日中最高気温は38度を超えていた。灼けつくような日光が容赦なく照りつける土曜日の午後、ペドロガオン・グランデの川岸は涼を取る人びとでにぎわっていた。そこに落雷が発生し、数カ所から火災が発生、避難を始めた人びとは主要道路に出る途中で炎に囲まれ、前に進むことも戻ることもできず、混乱の中で衝突事故が発生し、自家用車の中や徒歩で避難しようと自家用車から出たところで亡くなった。

地元ポルトガル人は、昔はこんなに森林火災は発生しなかったと言う。地球温暖化の影響はあるだろう。だが、地面から水分を吸い上げて急成長するユーカリの木の影響は大きい。ユーカリはポルトガルでは現金作物である。トイレットペーパーになってヨーロッパ市場で消費される。ヨーロッパのトイレットペーパーはポルトガルで作られる、とも言われる程だ。だが、地元では水不足の原因となる。

バリル・マーケット

毎月第三土曜日にはバリル・ド・アルバのマーケットが開催される。有機野菜や野菜や花の苗から、手作りのパンやお菓子、スパイス、エッセンシャルオイル、自家製ワインや蒸留酒、ホットドッグやピザ、古着や蚤の市で見るような家具や道具もある。

物によっては値段は「寄付」で、商品の横にバスケットや箱が置いてある。店番はいなかったりする。欲しい人は、勝手に選んで、適当或は自分の予算に合った金額をバスケットや箱に入れる。

子供たちも、工夫を凝らしてお小遣い稼ぎをする。子供楽隊が大道芸師のようにハーモニカや笛等を吹きながらマーケットを歩き回る。リクエストがあれば一曲即興で演奏しておひねりをもらう。自分で作ったお菓子やケーキを持って来て売る子もいる。

初めて会った時には幼児だった子供たちも、今では10代。クリエイティブなガイジン・コミュニティを反映して、クリエイティブにお小遣い稼ぎをやっている。

写真は上から、木陰て休む子供音楽隊、サングラスをかけてクールにパンケーキを売る男の子。

オレンジの剪定

 

6月から7月にかけてはオレンジ等柑橘類の剪定の時期。家にはオレンジが一本、タンジェリンが2本ある。ここ数年、手入れしなかったのでかなりぼさぼさな感じになってしまった。

柑橘類は葉が茂っているために真夏でも木の内側は涼しく、しかも登りやすいので、選定作業は楽しい。インターネットや人の話を参考にして自己流に剪定しているが、人によって言うことが違うので、迷うことも多い。

前回は、剪定時期よりも数ヶ月早めに剪定した。5月初めに剪定すれば、多少強めに剪定しても、冬が来る前には回復するという話を聞いたからだ。柑橘類は霜に弱い。何が悪かったのか、わからないのだがその年から数年間、どの木も北側の葉っぱが落ちてしまい、バランスは崩れるし、寒そうだし、その上なかなか回復してくれなかったので剪定するのがちょっと怖くなっていた。ということで、木の北側にまた、葉が茂り始めてからも数年間、手を付けていなかった。

5月最後の週末

そして、日曜日。近所の人達を招待して、パーティを開いた。これまでも、地元ポルトガル人の友人を個別に家に招くことはあったが、村の友人全てに声をかけることはなかった。

なにしろ、何人来るかはフタを開けてみなければわからないのだ。どのくらい料理を準備すればいいのか、見当がつかない。しかも、ポルトガル料理以外、何が口に合うのかわからない。

ということで、ポルトガル風に焼きイワシとチョリソを準備した。友人も、それぞれ差し入れを持参。夕方から始まったパーティは、真夜中まで続いた。

写真は庭の屋根の下でくつろぐ友人たちと、チョリソを焼く村の少年。

 

5月最後の週末

5月最後の週末もイベントは盛りだくさん。

土曜日にはタブアの市場を会場に、ガーデン・イベント。丹念に手入れをしたご自慢のガーデンから、採り立ての野菜や果物を使った料理、工夫を凝らした箱庭、手入れの行き届いた植物等が展示。様々なカテゴリーごとに賞も準備されている。

このイベントは数年前にポルトガル在住の外国人が始めた。最初の数年は出品者はほとんどが外国人。訪れる人も少なかったが、今回のイベントには地元ポルトガル人の出品もあり、多くの人が訪れていた。来年は、私も出品しようかな...。

写真はイベント会場の出品作品。

5月からもう、夏!

ポルトガルは夏になると忙しくなる。毎週末、どこかしらでコンサートや祭りがあるのだ。5月半ばの週末。

金曜日には近くの村の広場で、アレンテージョ地方のギターのソロコンサート。ひょうたんの形をしたギターは初めて見た。多少金属的な音色だが、暑い一日が終わって涼を取る村人達が集まって来た広場で、たっぷりと演奏をしてくれた。

土曜日は(私たちには)おなじみのオブリビオンのコンサート。ピアノはポール、バイオリンはキン。この日はオランダからアカペラのグループが参加。地元ではオブリビオンは人気がある。クラシックとコンテンポラリータンゴがバリエーションだ。

日曜日。子供向けのファンタジー劇を見に行った。俳優の友人が数ヶ月かけて準備したもの。海賊の話だが、ポルトガル語なので半分くらいしかわからなかった。話の筋は、もう、覚えていない....。舞台装置ー大道具ーはなかなかよく出来ていた。

 

写真は上から、アレンテージョギターのコンサート、オブリビオンのポールとキン、オブリビオンとアカペラのチャペルでのコンサート、アドベンチャーファンタジーの劇。

 

 

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