November 2017

真夜中の逃避行

 

10月に入ってポルトガルでは異常気象が続いている。雨が降らない。4月以降、雨がぱらついたのは一度だけ。連日35から40度を超える暑い夏を経て乾燥しきったポルトガル大陸部では大規模森林火災が多数、発生していた。

10月6日夜23時21分、ポルトガル中部に位置するベンフェイタ村から直線距離で6キロ程の、アソール山脈自然保護区の南カスタニェーロ・ダ・セーラで火災が発生した。

10月7日、風光明媚な谷間の村ベンフェイタの広場では朝から定例の手工芸品や有機農産物の市場が開かれていた。この村は一時期、過疎化が進んで寂れていたが、オランダ、英国、ベルギー、ドイツなど北ヨーロッパの移民が「再発見」してから、周辺の山間部に点在する集落や森林部への移住者が増えて活気を取り戻した。

この日、市場は開かれたものの、ゆっくりと頭上を流れるぶ厚い煙が気になって、落ち着かない。ポルトガルに移住して長いドイツ人バーバラは、「山火事を恐れながら暮らすのはもう、いや」と言う。数週間前にはベルギー人のトムが引っ越すことを考えていると言っていた。