第3日目 船中泊
ザラゴザからバルセロナへ。今日はこれからの旅に備えた準備をしなければならない。ポルトガルでは手に入らなかった雪道用のチェーンの購入である。
バルカン半島諸国では、11月から雪道対策をしなければならない。スノータイヤは必需品。最も厳しいのがボスニア・ヘルツェゴビナ。スノータイヤ以外にチェーンと10キロだか25キロだかの砂の携帯が義務付けられている。スノータイヤに関しては、すでにポルトガルで雪道でも使えるタイヤに交換した。チェーンはポルトガルでも探したが、簡単には入手できそうもなかったので。バルセロナのショッピングセンターで買うことにしていた。砂はウチの庭で野晒しになっていたものを5リットルの飲料水のペットボトルに詰めて車に積んだ。
スペインのバレンシア地方では10月29日、観測史上前例のない集中豪雨が発生し、土石流によって200人以上が犠牲になるという災害があった。8時間の間に1年分の雨が降ったのに、洪水が発生してから集中豪雨警報が発出されたため、逃げ遅れた人が土石流に呑まれて被害が拡大、大惨事となった。交通が寸断され救出作業は進まず、支援物資も届かず、水が引いた後の復旧作業(泥のかき出し)で地元民は疲労困狽。政府は何もしてくれない、自分たちは見捨てられたという絶望感が広がっていた。
災害発生4日後にスペイン国王フィリッペ6世とレティシア王妃、首相サンチェスが視察に訪れた。疲労と絶望が広がる中で、怒った民衆が「人殺し!」「恥を知れ!」と罵りながら、国王と王妃、そして首相に泥を投げつけた。国王と王妃はそれでも被災者の話に耳を傾ける姿勢は崩さなかった。首相は即座に避難させられた。日本で天皇・皇后が泥を投げつけられたら、どのような事態になっていただろう。本人の意思に関係なく天皇と皇后は安全な車の中に誘導され、泥を投げた人々は暴力的に逮捕されたのではないだろうか。
「泥を投げたのは少数のトラブルメーカーだ」と非難するコメントを聞いて考えてしまった。泥やペットボトルなどを、それが誰であっても人に投げつけるのは言外ではある。が、被災して大変な状況の時に、いわば招かれざる客である王族や首相が来たのである。民衆に怒りをぶつけられても、仕方ないだろう。権力者の権威は国民に由来する(日本国憲法でもそうなっている)のだから、あたかも権力の僕であるかのように、こんな時にもありがたがらなければならないいわれはない。「首相は災害が起こった直後にシャベルを持って現地を訪れ、一緒に泥をかき出すべきだった」と言った人もいた。特権階級の人々は一般市民が理解できるのだろうか。
11月4日にはバルセロナで集中豪雨が発生して、空港の一部とその近くのショッピングセンターの地下駐車場が浸水した。フェリーが出航する港の目と鼻の先である。使う予定だった高速が寸断。一時はフェリーが本当に出発するのか心配した。ちなみにタイヤチェーンは運良く、最初の店で手に入った。
フェリーの出港は1時間半、遅れた。6日23時59分(!)が定刻だったのに、出港は7日の早朝01時半。到着予定は同日深夜。航行中に遅れは取り戻せるのだろうか...。
バレンシアとバルセロナの洪水に関するリンク
https://www.bbc.com/news/articles/cp8xy03zk44o
https://www.bbc.com/news/articles/c937lq3dn05o
https://www.bbc.com/news/articles/c5ypgjg2jrpo
写真は上から
ザラゴザの市場
パン、チーズ、オリーブなどで昼食
バルセロナ発チビタベッチア着のフェリー
船室がずらっと並んでいる船内の様子




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