第一日目 アランダ・デ・ドゥエロ泊

久しぶりの長期旅行を何となく考えていた。スペインはバルセロナからイタリアのチビタベッチア(Civitavecchia)まで、イタリア半島を横切って反対側のアンコナからギリシャのパトラまでカーフェリーを利用してアテネへ。ギリシャを周り、バルカン半島諸国、イタリア、フランス、スペインを通ってポルトガルへ帰ってくる約一ヶ月のロードトリップである。

夏の終わり頃から真剣に考え始めたが、9月半ばに車が故障。これではロードトリップは無理かもしれないと一時は諦めかけた。車がダメならば、バックパックで公共交通機関を使っての旅行でもいいかも、とも考えた。65歳(!)になるとポルトガルでは列車料金が半額になる。欧州諸国でも割引がありそうなので、交通費は安く上がりそうだ。それに、途中で車が故障する心配する必要もない。それでも車の利便性は捨て難い。私はこれまで、車での長期旅行をやったことがない。運良く、出発の10日前ほどになって車の修理が完了、これならば大丈夫そうだということになった。

そして今日、第一日目。

自宅を9時ごろに出発して、国境の街ビラールフォルモサに到着したのはポルトガル時間で昼頃。二ヶ月ほど前にスペインで車が故障した時に、牽引されてきた街である。国境通過のために通るだけだったので、国境しかない街だろうと思い込んでいたが、街中をドライブで抜けてみると、実際には中心街もある典型的なポルトガルの街でもあった。さてそれでは国境を越えようかと主要道路に出てきてみると、何とすでにスペイン側に来ていた。どこで、いつ国境を越えたのかわからない。ケータイを見ると、ポルトガル時間からスペイン時間に変わっていた。

1泊目はスペインのアランダ・デ・ドゥエロ。すぐ近くの山脈に、ポルトを通って大西洋に流れ込むドウロ川の源流がある。川に揺られながら成熟するポルトワインを樽ごと独特の船に積んでドウロ川の上流まで運び、またポルトまで持ってくる、ポルトワインのゆりかごとも言える川である。その源流がスペインの、西寄りの山脈にあるとは知らなかった。全長895キロ、イベリア半島で第3番目に長い川である。

スペインに入ると景色が一変して「スペイン!」という感じになる。人間が地球上に引いた線でしかない国境なのに、不思議である。乾燥して、緩やかな起伏の大地がどこまでも広がる風景は間違いなくスペインだ。黄色に変わり始めた木々の葉が風に揺らぐ。ゆっくりと草を喰む牛たち、コルクの大木。最高気温は22度。時折汗ばむくらいだが快適である。

6時間運転して、メディーナ・デル・カンポで休憩、暗くなりかけた頃にドゥエロに到着。最初の夜は旧市街でビールとタパス(小皿料理)で乾杯。体調がまあまあだったので、この日は早めに切り上げた。旅はこれからだ。

写真は上から

スペインの見事な黄葉。紅葉はあまり見かけない

メディナ・デル・カンポの古い市場の外観